公安委員会・警察本部における情報公開条例審査基準
第1 趣 旨
警察行政の円滑な運営のためには、県民の理解と協力が何にも増して必要であり、また、行政の透明性の確保と説明責任の遂行という時代の要請にこたえる観点からも、情報の公開は重要なことである。本審査基準は、こうした観点から、情報公開条例(以下「条例」という。)に基づき公安委員会及び警察本部長が行う行政文書の公開・非公開の決定に際し、準拠すべき条例の解釈、運用の基準について、「秋田県情報公開条例の解釈及び運用基準(平成14年2月1日付け総-1849総務部長通知)」に定められているもののほか、公共の安全等に関する情報(条例第6条第1項第6号)及び予算執行に係る行政文書の公開の基準を示し、もって公共の安全と秩序の維持等との調整を図りつつ、積極的な情報公開に資することを目的とする。第2 基本事項
1 公開・非公開の基本的な考え方
条例は、地方自治の本旨に即し、行政文書の公開を求める権利を明らかにし、県が保有する情報の提供に関する施策の充実を図ることにより、県民の県政への理解と信頼を深めるとともに、公正な行政運営の確保と県民参加による県政の一層の推進を図り、県政の発展に寄与することを目的とするものであることから、行政文書公開制度は原則公開の考え方に立っている。しかしながら、一方で、個人、法人等の権利利益や、公共の利益等も適切に保護する必要があり、公開することによる利益と非公開とすることにより保護される利益とを適切に比較衡量する必要がある。このため、条例では、公開しないことに合理的な理由がある必要最小限の情報を非公開情報としてできる限り限定的かつ明確に規定し、実施機関には、この非公開情報が記録されている場合を除き、公開請求に係る行政文書を公開する義務があることを定めている。
警察としては、これら条例の趣旨に即し、条例第3条第1項に定める実施機関としての責務を全うして、保有する情報を積極的に公開するようにしなければならない。
2 非公開情報の取扱い
条例は、第6条第1項で、公開請求に係る行政文書に非公開情報が記録されていない場合の実施機関の義務について規定しており、非公開情報が記録されている場合については、特に定めていないが、条例では非公開情報の範囲はできる限り限定したものとするとの基本的な考え方に立っており、第7条(公益上の理由による裁量的公開)の規定により、実施機関が「公益上、特に必要があると認めるときは公開することができる」ことの反対解釈として、「公益上、特に必要があると認めるとき」以外は、公開してはならないこととなる。3 非公開情報の類型
条例第6条第1項各号の非公開情報は、保護すべき利益に着目して分類したものであり、ひとつの情報が各号の複数の非公開情報に該当する場合があり得る。また、例えば、ある個人に関する情報について、第1号のただし書の情報に該当するため同号の非公開情報に該当しない場合であっても、他の号の非公開情報に該当して非公開となることはあり得る。したがって、情報を公開する場合は、本項各号の非公開情報のいずれにも該当しないことを確認する必要がある。
4 非公開情報該当性の判断の時点
非公開情報の該当性は、時の経過、社会情勢の変化、当該情報に係る事務・事業の進行状況等、事情の変更に伴って変化するものであり、公開請求があった都度判断しなければならない。このような変化は「おそれ」が要件となっている非公開情報の場合に顕著であると考えられる。一般的には、ある時点において非公開情報に該当する情報が、別の時点においても当然に非公開情報に該当するわけではない。したがって、個々の公開請求に係る行政文書を公開するかどうかの判断は、公開決定の時点で行うものである。
第3 非公開情報
1 公共の安全等に関する情報(条例第6条第1項第6号)の公開の基準
公共の安全等に関する情報の対象として非公開とする情報は、この規定の趣旨にのっとり、「秋田県情報公開条例の解釈及び運用基準」に定めるところに準拠し、犯罪の予防、鎮圧、捜査等に代表される刑事法の執行を中心とした公共の安全と秩序の維持に支障が生ずるおそれがあるものに限定して、その該当性を適正に判断する。2 予算執行に係る行政文書に関する公開の基準
予算執行に係る行政文書についての公開・非公開を判断するときは、条例第6条第1項各号について、厳正にその適用を判断するほか、個々の情報に照らして判断しなければならない。予算執行に係る行政文書における代表的な情報類型に関する公開・非公開の基準は次に例示するとおりであるが、これら例示に属しないその他の情報に関しては、条例の趣旨及び規定に従って、厳正にその公開・非公開の判断を行わなければならない。
(1) 共通事項
ア 第三者情報予算執行に係る行政文書に記録されている第三者の情報については、個人に関する情報(条例第6条第1項第1号)及び法人等に関する情報(同項第2号)に該当するもののほか、公開することにより当該第三者に対し危害や妨害活動が加えられるおそれがあるもの、及び犯罪捜査等の警察活動に支障が生ずるおそれがあると認められるものは、当該第三者の権利利益の保護と公共の安全と秩序の維持の観点から、非公開とする。
イ 警察職員の氏名等の情報
警察職員の氏名については、条例第6条第1項第1号の規定上は原則公開であるが、同項第6号に規定する犯罪の予防等に従事する者等であって、氏名を公開することにより公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合、また、同項第7号の規定により、氏名を公開することにより、生命、身体、健康、生活又は財産の保護に支障を及ぼすおそれがある場合は非公開とする。
(2) 旅費に関する事項
旅費の支出に関する予算執行に係る行政文書については、条例第6条第1項各号に規定する非公開情報に該当しないものは公開する。なお、旅費の支出に関する予算執行に係る行政文書についての公開・非公開を検討するに際しては、旅費の予算区分(活動旅費、一般旅費等)の別に応じて一律に決するのではなく、個々の旅行の目的、実態等に照らし、公開することにより、個別の犯罪捜査等の警察活動に支障を及ぼすおそれがあるか否かによって、判断しなければならない。
(3) 食糧費に関する事項
食糧費の支出に関する予算執行関係文書については、当該食糧費の支出に係る警察活動、事務事業等の目的、内容等及び個々の情報に照らして厳正に判断し、非公開情報に該当しないものは公開する。(4) 捜査費に関する事項
捜査費の支出に関する予算執行関係文書については、本基準第3の1(公共の安全等に関する情報)によるほか、次による。ア 個別の執行に係るものは、情報提供者等の捜査協力者が特定されて危害が加えられたり、今後の協力が得られなくなるおそれがあることから、原則として非公開とする。
イ 年度別の所属別支出額については、公開とする。